コラム

2019.09.13[大規模修繕]

現場監督の仕事はベランダ掃除?! 最終回

大規模修繕工事における事故予防とは

マンション改修工事における工事期間中のベランダ清掃過程での思わぬ「気付き」を、新人監督時代の実体験を元にお話しさせていただきました。

この時に学んだ、工事現場で最も大切な「安全管理」、人も物も不安定な状態が一番危険であるという事実。

残念ながら、現実問題として人間が人間である以上、この世から事故・災害をゼロにすることは出来ません。

労働災害も交通事故も、あらゆる事故はこの先もゼロになる事は無いでしょう。

しかし、人々の安全意識の改善により、事故を予知・予防する事は間違いなく出来るはずです。

予防とは、事故自体を防ぐと同時に、万が一の事態に遭遇しても、被害を最小限に抑える事でもあるのです。

なぜ増えた?大規模修繕工事での足場事故

昨今のマンション大規模修繕工事現場・マンション改修工事現場では、以前に比べ足場絡みの事故が多発しております。

以前とは、ここ10年程前で、大掛かりな足場設置基準の法改正があってからです。

法改正で事故多発とは、ピンとこないかも知れませんが、改正前と後では仮設足場工の作業量がとても増えてます。

作業時の不安定な場面が増したのです。

安全基準を高めた事により、仮設足場工の墜落死亡事故や、物品落下による第三者災害が、皮肉にも増えてしまったのです。

記憶に新しい事例は、数年前に起きた、足場部材落下によって第三者である一般歩行者が死亡した事故です。

この悲惨な事故はまさに大規模修繕工事中の出来事でした。

新築工事ではありません。

とてもショックでした。

予防出来たはずです。

足場部材が歩行者に直接落下する前に、食い止める措置を講じられたはずです。

予防措置は何通りもありました。

話すと長くなりますので、詳しくはまた別の機会に必ずお話しさせていただきます。

足場上のホウキ等の軽い掃除道具も、重たい足場部材も、不注意で落下させ、人に当たれば同じ凶器になります。

少なくとも、高所に不要な物品を放置しなければ、物品落下事故はゼロに近づけることが出来るはずです。

監督員が作業場全体を巡回巡視し、不安定な状態を見つけたら、直ちに是正すればよいのです。

私共は躊躇なく是正指導が出来ます。

見て見ぬ振りは絶対にあり得ません。

ただ叱るだけでは駄目なのです。

工事に関わる全ての者の安全意識を変えなければ、同じ事態が再び起きてしまいます。

漏水も防ぐ!ベランダ掃除

また、表題のベランダ掃除は、間接的に漏水事故も予防出来ます。

マンションの各戸ベランダは、埃・ドロ・ゴミ等で結構汚れています。

雨水の排水を行う排水口が汚れで塞がり、排水が出来ずに直下階に漏水という事態がたまにあります。

そして、改修工事期間中には高圧洗浄工事なる工程があり、建物全体を物凄い水圧で洗浄します。

当然各戸ベランダも洗浄することとなり、汚れで排水口が塞がっていると、ベランダ全体がプール状態になってしまい、室内に浸水するという最悪の事態に陥ります。

事前のベランダ掃除で漏水も予防できるのです。

新入社員現場研修では、約300世帯のベランダ床の掃き掃除によりできた手のひらの血豆から、改修工事で最も大切なのは「安全管理」である事に気付かせていただきました。

全ての事故は偶然の産物では無く、必ず原因があるのです。

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