2019.08.24[大規模修繕]
現場監督の仕事はベランダ掃除?!
大規模修繕工事会社の中途採用
「未経験者可」
という求人雑誌の求人欄に目が止まり、平成10年の春に、大規模修繕工事の元請け会社の面接を受けに行きました。
工事管理監督者(現場監督)への応募です。
当時はインターネット求人媒体など無く、
- 職安(今のハローワーク)
- 新聞求人広告
- 求人雑誌
以上が企業と応募者の橋渡しであり、当時は上記の方法で中途採用が普通に出来ていました。
ところが現在、大規模修繕工事会社の、特に工事管理監督者、いわゆる現場監督の人手不足は深刻で、中途採用は困難を極めます。
詳しい話はまた別の機会に掲載します。
初日の仕事はベランダ掃除?
私は大規模修繕工事会社の現場監督業に未経験で応募し、面接を受け、即日採用され、翌日から千葉市川の現場に行くように指示を受けました。
会社からの説明も研修も無しにです。
面接後に現場の住所と現場監督者(現場所長)の名前をメモで渡されました。
当時は会社の幹部クラスでないと携帯電話は持っていなかったので、その程度の情報でした。
初日、住所を頼りに現場に向かうと、挨拶もそこそこに、現場所長から
「ベランダ掃除してきて。」
との指示が出ました。
どこのベランダかわからず訊ねると、近くに居た職人さんについて行くように言われました。
その職人さんの後を足早に追いかけ、マンションのエレベーターに乗り、開放廊下を歩き、開放廊下の手摺をよじ登り、仮設足場に移り、しばらくあたふた足場を歩き、やっとあるベランダに辿り着きました。
自分が今いる場所がどこなのかわからなくなりました。
300世帯くらいのマンションで、当時としては比較的大きな物件でした。
大規模修繕工事の現場監督のはずが
渡されたのは、
- 普通のホウキ
- チリトリ
- 大きめの刷毛(狭小掃除用ラスター刷毛)
- ゴミ袋(ガラ袋)
以上4点で、いそいそとベランダ床の掃き掃除を開始しました。
現場に到着して、ここに至るまで約10分です。
少し気持ちが落ち着いて、周りを見渡してみると、改めて自分の居るマンションの巨大さに目眩がしました。
終わりの見えないベランダ掃除。
自分自身の位置・場所喪失。
現在の居場所が全くわかりません。
遭難者の気持ちがほんの少しわかりました。
そして、ふと思います。
自分は掃除屋さんか、と。
いや違います。工事管理監督者、いわゆる現場監督でこの会社に入ったのです。
しかし、未経験だから仕方ない。
自問自答しながら、悶々とベランダ掃除をしていたら、先程ここまで案内してくれた職人さんが来ました。
「一服するから下におりよう。」
お昼前なのに休憩できることに驚きましたが、ホウキを持つ右手の握力もきつくなってきていたので、物凄く嬉しかったです。
ベランダ掃除、真相は?次回へつづく。